業界記事
責任範囲の明確化を/制度導入疑問の意見も/瑕疵保証のアンケート結果
2005-04-12
全国建設業協会(前田靖治会長)は11日、「瑕疵保証等に関するアンケート」の調査結果を明らかにした。会員企業約1400社にアンケートを依頼したもので、有効回答数965社。それによると、「瑕疵保証制度の導入について、どのようにお考えですか」という質問で、「受・発注者の責任範囲の明確化など条件が整備されれば賛成」と回答した企業が62%と最も多かった。「ダンピング受注や不良不適格業者の排除に有効である」が32%、「公共工事の品質確保に有効である」が31%と続く。一方、「受注者にほとんど責任がない場合でも瑕疵工事として責任をとらされることが多いので、導入に疑問あり」と意見を述べる企業も多かった。
「最近5ヵ年の引渡し済みの公共工事で行った手直し工事で、不具合が発生した責任はどこにあるか」という質問で「明らかに自社の責任」と回答した企業が42%、「自社にも責任はあるが他にも責任(原因)がある」と回答した企業が37%、「自社に責任はない」と回答した企業が21%となった。「他にも責任(原因)がある」と回答した企業うち、「洪水、豪雨、暴風、地震など自然変象」を原因にあげたものが31%と最も多く、「設計上の誤り、発注者の指図の誤りなど」を原因にあげたものが19%と次いで多かった。
「直近5ヵ年決算において、引渡し済みの公共土木工事、公共建築工事の件数と、そのうち手直し工事を行った件数」の質問では、公共土木工事の過去5年の完成工事件数11万4364件に対し、手直し工事件数3373件で、手直し発生割合は2・9%だった。これに対し、公共建築工事の過去5年の完成工事件数2万7904件に対し、手直し工事件数2330件と手直し発生割合は8・3%にのぼり、公共土木工事の手直し割合の約2・9倍となっている。同協会では、公共建築工事の手直し発生割合が高いことについて「建築構造物は人の目にさらされることが多く、何らかの不具合が発生すれば、すぐに発見されるケースが多いのに対して、土木構造物の場合は、地中に埋設されたものが多く、不具合が発見されにくいことと、引渡し後に行われる検査体制が土木と建築では異なることから格差が生じている」と推測している。
「現在、公共工事の瑕疵担保期間は通常2年間ですが、これを延長することについてどのようにお考えですか」という質問では「期間延長に伴い、紛争の増加・長期化が懸念されるため反対」と回答した企業が40%を占め、最も多かった。次いで「不良不適格業者の排除、ダンピング受注の減少には効果がある」が30%、「橋梁、トンネル、空港、ダムなど重要な工種によっては延長すべき」が29%と続く。
「瑕疵担保期間を延長するためには、どのような条件整備が必要ですか」の質問では「受・発注者の責任範囲の明確化」が77%と最も多く、「瑕疵の判断基準の明確化」が71%、「発注者、設計者、受注者の協議の機会を増やす」が40%と続く。
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