業界記事

どうなる建設業界・地場業者の再生極めて重要/国交省・中島審議官インタビュー

2004-10-18

 建設市場の現状と見通し、地方における建設産業の再生、新規分野進出の促進など建設産業政策を担う国土交通省の中島正弘大臣官房審議官(建設産業担当)に、建設産業の課題、入札契約制度の今後の展開などを伺った。同審議官は「建設産業の課題については、地方の中小・中堅建設業の再生は極めて重要だ。そのためには、不良・不適格業者の排除が必要」と強調。新規分野進出の促進については「モデル的な取組みへの支援を盛り込んでおり、こうした施策を通じ、意欲ある中小・中堅建設業者の取組みを後押ししたい」と述べた。
 一方、入札契約制度の今後の展開については「大手向けには技術力を加味した総合評価や交渉方式を、地方のマーケットで中小企業が受注する一般的な工事にも技術力が加味される必要がある」とした。
 さらに、技術者不在の市町村では発注者支援として検査、監督、発注などの全ての段階でアウトソーシングできる制度が必要だ」と提案した。
 1問1答以下のとおり。
【建設産業の課題について】
 --建設投資が年々縮小する傍ら、業者数が減らない過剰供給構造が指摘されています。特に、地方における建設業の再生も叫ばれていますが
 中島審議官 建設投資は、約51兆円とピーク時に比べ3分の2となった。しかし、建設業者数は約56万社と逆に増加している。これが過剰供給構造だと指摘されている。マーケット全体で見れば、住宅などの民間マーケットは設備投資系を中心にやや回復の兆しが見られる。ただ、結局は公共事業が重要で、それが減少し続けていることが問題。スーパーゼネコンなどは、民間8割に公共事業が2割。その一方で、公共事業依存度が高い地方の中小建設業者は非常に厳しいと思われる。だからと言って地方の地場の建設業者は、地域経済への役割、災害復旧、道路、河川の維持管理など地元企業は、地域社会の発展には欠かすことができない。地方の中小・中堅建設業の再生は極めて重要だ。
 そのためには、不良・不適格業者の排除が必要。これまでの施策を、一度総点検してみたい。
 それと、いままでは公平性・透明性のもとに、なるべく窓口を広くしてきた。その結果ダンピングなどの不良不適各業者が増えた。一般競争も導入された。価格が安いだけではなく品質確保も大切。それが発注者責任だ。発注者は、信頼できるパートナーを育てる義務がある。
 --地域の中小・中堅建設業の再編は難しいといわれてますが
 中島審議官 基幹産業として多くの就業機会を提供するなど、地域経済や社会の発展に欠かすことのできない役割を担っている。特に災害復旧、道路・河川の維持管理など地元企業は、地域再生の観点からも再生は極めて重要であると考えている。
 また、中小・中堅建設業の再生に向けて、入札契約制度の改革を通じて、不良・不適格業者排除の徹底やダンピング受注の防止など様々な施策を展開してきた。今後は、一度総点検を行い、不良・不適格業者の排除に全力をあげたい。
 --経営革新の取組みは
 中島審議官 コスト管理の徹底や分業・外注の徹底による経営の効率化、資機材調達の共同化や積算・設計の協業化などの企業間連携、これまで培ってきた技術・ノウハウを生かした農業・福祉・環境等への新分野進出、合併や協業組合の設立などの経営統合といった取組みを通じて、経営基盤の強化を図ることにより、技術と経営に優れた企業が生き残り伸びていくことができる環境整備を進めていく。
 --新規分野進出の促進について
 中島審議官 建設投資の低迷による淘汰が否めない業者には、新分野進出への後押しを行う。そのための「政策群」として17年度の概算要求に盛り込んだ。情報提供など関連するサービスを1か所でまとめて受けることができる「ワンストップサービスセンター」の設置や新分野進出等についてのモデル的な取組みへの支援を盛り込んでおり、こうした施策を通じ、意欲ある中小・中堅建設業者の取組みを後押ししたい。
 ただ、建設業の性格は製造業と違い、新技術を開発したからといってすぐに受注につながらない性格があるので、新商品などを販売する通常の営業ができない仕組みとなっている。
【入札契約制度の今後の展開について】
 --価格だけの競争から技術力重視の発注方式が試行されているが、今後の入札契約制度の方向性について
 中島審議官 大手向けには、新工法・技術が必要なある程度の技術難易度が高い工事には、価格だけでない技術力を加味した総合評価や交渉方式が導入される。その一方で、地方のマーケットで中小企業が受注する一般的な工事にも技術力が加味される必要がある。それが工事成績だ。現状では、工事成績は指名基準などに反映されている。極論で言えば、一番良い業績を残した業者には、多くの仕事をしてもらうようなシステムができればよいのではないか。
 --技術や工事の成績評価は一律にできるものなんでしょうか
 中島審議官 技術力や過去の工事成績を活用する場合は、発注者に素晴らしい技術者がいるのが前提である。特に地方の市町村では、技術者不在の地区があり、技術評価や工事成績評価もままならないと思う。今後は発注者支援として、設計などのほか、発注検査、監督などの全ての段階でアウトソーシングできる制度が必要だ。発注コンサルタントのようなものを考えてもよいのではないか。
 --発注コンサルタントを具体的にいうと
 中島審議官 例えば、役所や建設業者の技術者OBの活用なども考えられる。それが建設関連業の中で新たな職業になれば新分野進出にもつながると思う。
【その他】
 --不良・不適格業者が増大する背景に価格に囚われた入札方式によるダンピング問題などがありますが
 中島審議官 現在、国交省直轄では維持管理費や施工中の道路閉鎖期間を短くするなど、新しい工法や技術が必要な、ある程度難易度の高い工事においては総合評価落札方式、設計・施工一括方式、交渉方式といった価格のみではない技術力重視の発注方式を試行している。
 しかし、これは、地方のマーケットで中小企業が直面している工事には当てはまらない。ただ、工事の完成の出来栄えや段取りの上手、下手はある。現状は、工事成績は指名基準に加味されていることが多いが、落札者の選定に活用することを検討したい。
 --今後は、価格のみから技術力を重視した入札制度に代わるということですね。その他の入札契約制度も含めた建設業の再生策はありますか
 中島審議官 工事発注時における技術評価段階での見極め方法は、先ほど言った工事成績や技術力を加味した入札方式の導入になる。ただ、不良不適格業者の排除には、技術力以外にも工事を発注する際には、企業評価も見極めなくてならない。
 --最後になりますが、瑕疵保証研究会における検討状況はいかがですか
 中島審議官 いま、瑕疵保証制度の導入について研究会を設けて検討している。瑕疵保証制度導入にあたっては、瑕疵担保期間、瑕疵の設定、保証の制度設計など検討すべき課題も多い。年度内を目途に検討することとしている。
 しかし、不良・不適格業者を排除し、より良い公共事業を推進する上で、工事成績を中心に発注者が技術力を判断し、保険業者が経営力を見極める。この2つの制度により、経営力や技術力がある建設業者が生き残るのではないか。

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