業界記事

生活再建を第一に/安田吾郎所長就任インタビュー

2004-07-15

 県内のビッグプロジェクトとして注目を集めている八ッ場ダム建設事業を進める国土交通省関東地方整備局八ッ場ダム工事事務所の新所長として、山形河川国道事務所から安田吾郎氏が7月1日付で就任した。八ッ場ダムは、治水・利水の両面から考えて、自信を持って必要だと言える事業とし、現地住民の生活再建を最優先に考えながら、並行して工事も着々と進めたいと話す安田氏に、今後の事業展望や建設業界へのメッセージを聞いた。
◇自信を持って「必要」と言えるダム会社毎の工夫・技術に期待
 --群馬県の印象は
仕事で赴任するのは初めてだが、私も関東生まれの人間なので、近くに来ることは多かった。やはり「からっかぜ」と「かかあ天下」の印象が強い。あとは、非常に良い温泉が多いという印象を持っている。
 --就任した今の心境と抱負は
昭和27年以来、50年余という長い歴史のなかで、様々な経緯を経てきたダム事業という事で、地域の方々にも役立ち、下流の方々にも喜んでもらえるダムにしていかなければいけないという責任を痛感している。前任の山形河川国道事務所では道路と河川を担当していたが、山形の場合はどこへ行っても「早く事業を進めてくれ」という状態で、反対が少なかった。八ッ場ダムの場合は、様々な意見をもっている方が多いと思うので、それらの意見をきちんと受け止めながら最善の形でダムを造っていかなければと気を引き締めている。
 --今後の事業展望について
これまでに、ダムサイトとなる長野原町と補償基準を妥結しており、今は代替地の補償基準、あるいはダム下流の吾妻町との補償基準の交渉を続けている。この補償基準が妥結すれば、用地取得が進められる。そうすれば、それぞれの方々が将来の生活設計のビジョンを明確に描けるようになってくる。具体的に、どういう暮らしをするのか考えて頂くことで、代替地の使い方が決まってくる。地域の方々の暮らしのメドが付き、生活条件を整えることが第一。また、同時並行的にダム関連の工事も、出来るだけ早めに着々と進めていきたい。現在は、代替地の造成のほか、JRのトンネルや橋梁・道路などの基幹施設の整備を進めているが、これらの工事を早く仕上げて、本体工事にかかる準備を進めていきたい。
 --工事の中での最優先は代替地造成か
やはりそれが一番。「生活再建をどうするか」という問題を安定させることが最優先。あわせて補償基準の妥結を固めて、生活基盤の確立を考えていきたい。
 --ダム本体工事については
ダム本体の設計は、来年度から入っていければと思ってる。色々工夫をしながら安くて良いダムを作っていけるようにしていきたい。
 --コスト縮減については
計画変更案の4600億円の事業費まで、色々工夫して圧縮しなければならないと考えている。平成9年に当時建設省の技術調査室へ異動になったが、当時は政府全体でコスト縮減に向けた行動指針を作るという動きがまさに始まったところで、1月に赴任して3月末までに行動指針を作った経験がある。そういった経験も生かし、手を尽くして削れるところは削っていきたい。ただ、良く誤解される部分で、コスト縮減イコール、スペックダウンや品質の低下と思われるところがあるが、そうではなく、必要な物をきちんと作る中で、作り方を工夫するという事が基本だと思っている。やらなければいけない工事が多く残っている中、やるべき事をきちんとやり、質を落とさずに安くやっていく事が大切。あとは時代の変化に応じた検討もあると思う。後々、完成したものが「全て必要充分で役立つものだ」と言われるようにしたい。
 --ダム事業、公共事業のあり方について
各地でダム事業が中止になったりという状況から「今からダムが必要なの?」と疑問を感じる方もいると思うが、八ッ場ダムについては、利水面・治水面から考えても非常に効率の良いダム。自信を持って「作るべきダム」と言える。また、一般的な公共事業について、様々な要請があると思うが、「品質の確保」という事が優先的な課題だと考えている。品質とコストの両輪で進めていきたい。どうすればよい品質のものが、適正な価格で提供できるのかという事を発注者の立場から工夫したい。
 --県内のビッグプロジェクトということで期待される所は多いと思うが、地元優先の工事発注という考えは持っていますか
それぞれの工事をどういう業者が担当するか、ということは、工事の性格に応じて決まっていくことだと思う。地元が主体の工事も沢山あるだろうし、大手ゼネコンに委託する工事もあるだろう。要はそれぞれの力を発揮できる場所で、活躍していただく事が大切だと考えている。
 --建設業界への期待やメッセージは
建設業界を取り巻く環境が厳しいと言われて久しいが、ぜひ萎縮することなく、特徴を活かした仕事に取り組んで欲しい。良い会社がきちんと、良い仕事をしてくれれば段々安定した時代になっていくだろう。当面は厳しいだろうが、ちゃんとした仕事をする会社が報われる事になっていくと思っている。会社毎の工夫、また技術を持つ事が大切。発注者としても、高い技術力で、きちんとした仕事をする業者が報われるように意を砕いていきたい。
 --趣味や休日の過ごし方は
趣味は、野山の散策と水泳。この辺りは吾妻渓谷や、ちょっと足を伸ばして六合村の野反湖など歩くのにいい場所が多くありそう。これからの楽しみにしたい。散策は、普段知らない場所に思わぬものがあったり、非日常的な体験が出来るところが楽しい。水泳は、中学から高校と水泳部に所属していて、得意な泳ぎは背泳ぎ。最近は近くのプールで遊ぶぐらいだが、続けていきたい趣味。大学在学中は、水泳ではなく、パソコンに凝っていて、ゲームを作ったり、パソコン関係の本を書いたりしていた。

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