業界記事

中小企業摘発に偏重/現行法の的確な運用を/独禁法改正への意見提出

2004-06-30

 全国建設業協会(前田靖治会長)は、このほど公正取引委員会が検討している独占禁止法改正案に対する意見を提出した。意見書では、「現行制度の迅速、的確な運用」として「自民党公約では、自由な経済活動を促進し、企業の国際競争力を強化する観点から、独占禁止法の措置体系を全体的に見直すとしている。公正取引委員会においても、国際カルテルの規制強化を主要な目的のひとつとしているが、現実には、国際カルテルの摘発はほとんど行われておらず、課徴金の対象は大部分が中小企業であり、弱者にしわ寄せがきている。同委員会は、制度改正を議論する前に、まず求められている役割を適切に果たすために、現行法の迅速、的確な運用を行うことが先決である。その上で、不足する部分を見極めて制度改正を行うべきである」としている。同委員会は先の通常国会に同法改正案の提出を目指していたが、自民党、関係省庁、産業界などで反発が強く、法案提出を見送った。同委員会は今秋の臨時国会への法案提出を目指すが、全国建設業協会をはじめ、建設産業主要団体からも相次いで意見書が提出されており、同法改正をめぐって再び激しい論戦がスタートした。
 意見書の概要は次の通り。
[課徴金算定率の引き上げ]
 算定率を引き上げて、課徴金を制裁と位置づけるのであれば、憲法の禁止する二重処罰に当たると解すべきである。特に一律賦課の場合、現実に不当利得が少ない場合は、極めて過大な制裁となり、違憲性が強まる。欧米においても刑事罰と行政上の措置を併科している例はなく、日本の制度は異例である。
[措置減免制度]
 措置減免制度は、刑事告発がなされれば有効に機能しないことは公正取引委員会も認めている。公訴不可分の原則の下で、課徴金の免除を受けた者が起訴されないという保障はなく、制度的な欠陥がある。同制度を行政制度の1分野で突出して実施するのは妥当でなく、司法制度改革の全体の議論の中で、具体的な制度設計などについてさらに十分な議論を尽くす必要がある。
[排除措置命令]
 現行の排除措置勧告制度は、立ち入り後1年以内に発動することとされているが、これを3年に延長することは、審判手続の迅速性、効率性を損なうこととなり、制度の改悪であり、反対である。公正取引委員会が立ち入りを行うと、発注者は立ち入られた企業に対し、指名回避などの措置をとることが想定され、3年間という長期間にわたり企業は不安定な状況に置かれ、企業活動に重大な影響を受ける。調査の結果、無罪となっても、その間に受けた損害を回復する手段がない。
[適正手続きの確保]
 公権力の行使に対する国民の権利を擁護するため▽違反事実の詳細な認定と、それにかかわる手持ちのすべての証拠を、事前に、全面的に開示すること▽証拠説明を、公正取引委員会の必要性の判断によって行うのではなく、必ず行うこと▽糾問主義から対審構造的な手続きに抜本的に見直し、審判官の独立性を実質的に完全に確保すること
[ダンピング対策]
 現行の独占禁止法では、不公正な取引方法のひとつとして、ダンピングが禁止されているが、排除勧告などの法の適用はほとんど皆無である。これは、公正取引委員会の責任によるものではなく、法制度が不十分であるためと考えられる。したがって、独占禁止法体系全体を見直すにあたって、ダンピングを適切に取り締まることができるよう制度改正を行うべきである。
[公共調達制度の見直し]
 違反行為の排除は、制裁強化だけでは困難であり、その背景となる事情を見極め、幅広い対策を講じる必要がある。公共調達については、会計法及び地方自治法に基づく、金額のみによる競争制度を抜本的に見直すとともに、地方自治体の調査、発注、管理などの能力不足を補う施策を実施することが先決である。

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