業界記事

「全国安全週間」始まる/年間最少記録に挑む/建災防千葉県支部

2016-07-01

 ――見えますか? あなたのまわりの 見えない危険 みんなで見つける安全管理――をスローガンとする「第89回全国安全週間」が1日、全国各地で一斉に始まった。県内の建設業において2011年に過去最少の11人を記録後、3年連続で増加していた死亡災害件数が昨年、ようやく減少に転じた。しかし、県内建設業での本年の労災死亡者は、5月末現在で5人。昨年に比べ4人増加し、ここ数年で最も死亡者数が多かった14年と比べても1人増加している。建設業における死亡災害の増加が強く懸念される一方で、本年も「年間最少記録」に加え、念願の「年間一桁」の実現に向けて、県内建設業界が一丸となってゴールめがけ驀進する。

 ◆従来にも増した緊張感

 第89回目の「全国安全週間」を迎えて建設業労働災害防止協会千葉県支部の尾頭支部長は、支部としての労働災害の「現状認識」と「今後の取り組み」について言及した。
 千葉県内建設業で発生した労働災害による死亡者数は、2011年に11人と過去最少を記録した後、3年連続の増加を続けていたが「昨年(増加の)流れを止めることが出来た」と報告。
 第12次労働災害防止計画による建設業における死亡災害の減少目標は2割以上(県内の目標値は11人)とされていることには「減少傾向を維持して、目標達成を目指したい」とした。
 しかし、震災の復興工事の本格化や東京五輪の開催による工事量の増加並びに資材・人員の不足など、災害の発生要因が増す中で、死亡災害等の重篤な労働災害の増加を懸念。「我々としては従来にも増して、緊張感を持った労働災害防止への取り組みが求められている」と訴えた。

 ◆安全対策の充実と非会員事業場解消

 「千葉県内建設業における死亡災害を分析すると、何点かの特徴ある傾向が認められる」とした尾頭支部長は、第1点として「死亡災害に占める非会員事業場の割合が依然として高率なこと」を指摘。
 一昨年の24人のうち15人、昨年15人のうち9人が、元請・下請を含めた非会員事業場で占められていることについては「非会員事業場の安全衛生水準が一概に低いと断定はできないが」と前置きしたうえで、今後、県内建設業での重篤な労働災害防止を推進するには「非会員事業場の解消が急務」との考えを示した。
 第2点としては「改修工事・更新工事・解体工事において災害発生が多発していること」を指摘。2013年は17人のうち11人が、14年は24人のうち7人、昨年は15件のうち9件が改修等工事において被災。そのことから「適切な対応が求められる」と強調。また、改修等工事は施工に係る制約が多く、技術的にも難易度が高いものが多いことから「施工計画作成時におけるリスクアセスメントの充実を図る必要がある」と重ねて強調した。
 第3点としては、一昨年は24人のうち9人、昨年は15人のうち5人の死亡災害が発生した「墜落・転落災害の多発」。第4点として、一昨年に6人と大幅に増加し、ここ数年連続して発生する「交通事故による死亡災害の急増」を指摘。全国規模でみても「全産業の交通労働死亡災害のうち、建設業が約2割を占めていることを認識する必要がある」と訴えた。
 安全対策については「現場によって千差万別」としたうえで、ほぼ共通していることに「現場との往復に自動車の使用」を挙げ、特に現場からの帰りには「通常の作業を行った作業員が、自らハンドルを握るケースは日常的」と指摘。運転を担当する作業員には「帰路の安全運転を確保するため、余分に休憩を取るなど十分な配慮が求められる」と強調した。
 総じて「これら4点の傾向を踏まえ、安全対策の充実を図る必要がある」と呼びかけた。

 ◆災害の特徴再認識/実りある安全週間

 「見えますか? あなたのまわりの 見えない危険 みんなで見つける 安全管理」の安全スローガンに対しては、全国安全週間中に労働災害防止計画に示された実施事項とともに「県内建設業における死亡災害の特徴を再確認して頂き、それぞれの立場で責任を持って取り組むことにより、実りある安全週間にしたい」との決意をにじませた。

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